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プロペラシャフトの改造と振動対策 プロペラシャフト改造時の注意点
カローラ プロペラシャフト改造例

100系カローラの2分割式シャフトを採用した
20系カローラのセンターベアリング取付け部
 プロペラシャフトは一般にエンジンの動力をタイヤに伝える為の、装置の一部でFR方式の自動車に搭載
されています。一般にミッションとリヤーデファレンシャルの間のあり、後輪にエンジンの動力を伝達します。
ランクルやパジェロなどの4輪オフロード車では、フロントデフに伝達させるためにフロントシャフトや、ウインチ
を作動させるためにトランスファーシャフトなど、複数のシャフトが有る車種もあります。 勿論改造時には、
これらのシャフト類は長さが変わるので、改造する必要があります。
 
自動車の走行中は道路の凹凸や、過減速による車高の上下運動によりサスペンションが上下するので、
車体に固定されている、エンジン、ミッションの動力をスムーズにリヤーデフに伝えるために一般に2〜3組
のユニバーサルジョイントとシャフトにより構成されています。その寸法精度は高く数グラムバランスや回転
の中心(芯)が少し狂っただけでも大きな振動が発生してしまいます。
 特に、
高速走行する自動車では、プロペラシャフトの回転数も高いので、特に注意が必要になります。

  改造時には必ずと言って良い程、プロペラシャフトの改造や、長さの変更作業が付いてきます。
タイヤの回転数のほぼ4倍(デフの変速比)の速さで、別の表現ではエンジンの回転数×オーバードライブの
ギヤー比(通常1.2〜1.4程度)で回転するので防振対策については非常に神経を使います。 
以下にプロペラシャフトについての基本的な説明や、改造時の問題点を掲載いたします。
 
 プロペラシャフトの車体形状による改造方法と問題点
モノコック車の2分割式プロペラシャフト モノコックボディ車
 
 現在のFR乗用車でも採用されている最もポピュラーなタイプのプロペラシャフトと車体との組合せ例です。
 国産車ではクラウン、マジェスタ、スカイライン、フーガ等、外国車では中型以上のベンツ、BMW、ジャガー
 等の前エンジン・後輪駆動方式の高級車がこの方式を採用しています。
 
 FF車と比較してプロペラシャフトとリヤーデフが余分に付いている為に、製造コストが高くなります。
 また、前部で発生する動力を後部に伝達させる為に車体がエンジンの力でおおきな
「ねじれ力」が発生し、
 それに耐える為の高い剛性を持つ車体構造が必要になり、補強部材で車両重量が大きくなっています。

 最近の自動車にFF車が多いのはこの為で、動力部を前部に集中させれば、車体後部に動力を伝える必要
 がなく、簡単なフレーム構造で車体後部の強度を低く抑える事が可能で、大きなコストダウンが計られます。
 モノコック方式を改造する場合には、
プロペラシャフトの振動が、楽器のように車体全体に伝わり易い
 (共震・共鳴現象)
 ので、シャフトの接合部の加工精度は当然の事ながら、センターベアリングの取付位置
 や取付け方法等に細心の注意が必要です。
 

フルフレーム車の1軸式プロペラシャフト フルフレーム構造・単軸式プロペラシャフト車
  当社で改造している、コロニーパークやランクル、アスキス等がこの方式の車体を採用しています。
 車体下部にフレームと言われる車体枠で自動車の強度を持たせています。 エンジンやミッション、リヤー
 でファレンシャルなどは、すべてこのフレームに取付けられています。 車体はマウンティングゴムにより
 フレームとは絶縁された状態で取付けられており、振動などの軽減を計ります。
 
 左図はコロニーパークの概略図ですが、乗員スペースの下部にはフレームを取付けるスペースが確保
 できない為に、プロペラシャフトは2b近い長さになっています。 これを単軸シャフトと呼んでいますが、
 強度を確保するために軸のパイプを2重にしたり、軸径を太くしたりしていますが、振動が発生しやすく、
 改善する為に、 一般的には
2〜3分割式のプロペラシャフトが採用されるようになって来ています。

振動が発生しやすい改造例 異常振動しやすい改造例
 モノコック方式の改造では大した問題にならない場合でも、左図のようなフルフレーム構造の車体で
 プロペラシャフトの改造時、
センターベアリングの取付け方法で大きな異常振動が発生します。
 
 フレームにマウントゴムを介して、ボディが浮かされた状態で取付けられているので、足まわりの振動等が
 直接室内に伝わりにくい特徴があるのですが、その反面この例のようにボディーに直接センターベアリング
 を取付けてしまうとその
振動エネルギーにより室内全体に異常振動や大きなこもり音が発生しやすく
 なります。 これは、極力避けなければならない改造方法と言えます。
 フルフレームタイプの改造では下記のようにフレームに直接センターベアリングを取付けて
振動を回避する
 ようにします。

フルフレーム車の2分割式プロペラシャフト 改善対策を施した改造例
 上記での振動を改善するために、新たにクロスメンバーを増設して、センターベアリングを宙に浮いた
 ようにクロスメンバーに取付けします。 トラック等のフレーム構造車はこの方式を採用しています。
 これで、フレームに取付けたセンターベアリングとボディとがマウントゴムを介して絶縁状態になり、
 細かな振動も室内には伝わりにくくなります。

  プロペラシャフトの溶接加工時に
軸心が少しでも振れれば、異常振動が発生してしまいます。
 (こんな事は技術的には問題外ですが) 溶接時に細心の注意や方法をとって、ダイアルゲージで計測
 しながら 100分の5_ 以下の精度で加工しても 数グラムのアンバランスが、発生する場合があります。
 
 これはオリジナルのプロペラシャフトに製造時からのアンバランスが有る場合や、ユニバーサルジョイントの
 ベアリング部に不具合が有る場合が多く、加工時にこの寸法誤差を修正しますが、それでもわずかな振動が
 残る場合には下記の
電子式振動計を使い、最終的な動的バランス調整を実施します。

 電子式振動計
電子式振動計

電子式振動計本体
振動の計測・バランス調整法

ピックアップセンサーを取付け
バランス調整をしている様子


  振動素子により電気的に振動エネルギーを計測する
 装置です。 右側の写真のように
実際にプロペラシャフト
 を回転
させ、シャフトに取付けたピックアップマーカーと
 ピックアップ (クランク角センサーのようなセンサー)に
 よりどの位置に、また、振動素子によってバランスウエイト
 を何グラム貼り付ければ良いかが判ります。
 
 プロペラシャフトだけでなく、
ドライブシャフトプーリ類
 の動的なバランス調整が可能です。


 改造事例
 アスキス


改造前


改造後
上述のフルフレーム構造の事例です。
 
改造前は、2b以上ある単軸のシャフトです。
セルシオのエンジン、ミッションにスワップした結果、高出力
になり、強度上現車のシャフトは使えません。

その為にセルシオのプロペラシャフトとアスキスのオリジナル
シャフトを途中で接合します。 センターベアリングをクロス
メンバーに取付けして、1軸の長さを1b程度に短く改造して
強度を高めます。

 20系カローラ


改造後のシャフト後部


改造後のセンターベアリング取付け部
これは、モノコックタイプ構造の事例です。
 
20系のエンジン出力と101系のエンジン出力とでは大きく
馬力アップした改造で、元型のシャフトではとても強度が足
らず、破壊されてしまうので、101系はFFなのでプロペラシ
ャフトがないため、86系のプロペラシャフトを改造して取付
けします。
 センターベアリングを車体の中央部に取付けします。

 コロニーパーク2 


改造前


改造後
これは、フルフレーム構造車に防振対策のために、クロスメン
バーを増設して、センターベアリングを取付けした事例です。

車体下部と地面とのクリアランスがないので、クロスメンバー
をアスキスのようには増設できません。 右側の写真のように
センターベアリングを宙に浮かした構造でフレーム側に取付け
改造します。これで、室内には駆動系の振動は伝わらなくなり
ます。 振動でお困りの方は当社にご相談ください。ご連絡を
お待ち申し上げております。

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