■事故事案 平成16年12月 車対自転車 大阪市北区JR天満駅付近



■発生状況

  人通りの多い駅前の6m.道路で、当社お客様 A氏が運転
 する小型自動車が、道路と接するマンションの出入り口付近で
 通行人が横断するのを停車して待っていた。

  発車しようとしかけたその瞬間に、マンション内から、か
 なりの速度で自転車が道路内に飛び出してきた。A氏のフロ
 ントバンバをこすって、右方前方に自転車が倒れた。乗って
 いた70歳位のB氏は転倒し、約1週間の外傷を負った。 

  運転していたA氏はしばらく何が起こったのか判らなかっ
 たそうで、自分が自転車を跳ね飛ばしたものと、当初考えて
 おられたが、気持ちが落ち着くに従い自転車が路外から飛び
 出してきて、自分の車にぶつかって来たのだと理解された。

  ともかく外傷は大したこともなさそうであったが、人命優
 先であるから警察の現場検証が終わるとすぐに近くにある救
 急病院へB氏を自分の車で連れていかれた。

  病院へ行く自動車の中で、B氏は、「歯医者の予約してい
 る時間に遅れそうだったので急いでいた」と話されていた。
  検査終了後、B氏のご自宅まで送られ、その日は別れた。

  翌日、A氏はお見舞いにB氏宅に行かれたが、ご本人はま
 だ寝ておられるとの事で奥様に様子を伺い、手土産をことづ
 けられた。

  

道路状況解説
 6m1車線の一方通行道路と、車線のない8m道路
の交差するT字路。自動車の通行は少ないが、マンシ
ョン(約1,000戸)専用出入口から常に多くの歩
行者が通行している。横断歩道以外には、自転車が飛
び出ない様に約80p間隔でポールがある。



■B側の主張
・当初
 自分も急いでいて事故になったことでもあり、自転車
と、治療費を負担して頂けるならそれで充分です。






・途中から

 保険会社との話し合いは、A氏がやって下さい。
私は、これからの損害請求などの話し合いについては
A氏と行いたい。 
(約1週間ほど経過してから、急にB氏の様子に変化
がみられ、慰謝料等の請求をするようになり、言葉使い
も、端々に老人らしくない事故の専門用語が出始めた。 誰かと相談しだした事は明らかであった) 

 「怪我させておいて、なんと言う事をいうのか!出るところに出て訴えてやる!」


 
■A側の主張
  A氏は、「いきなり飛び出して来て勝手にぶつかり、まる
 で特攻隊の様なB氏ではあるが、老人でもあり保険で解決で
 きるなら、自転車も治療費もこちらで負担して欲しい。」
 と言うことであった。
  
  当社としては、保険会社に、過失割合はB氏の方が悪いの
 は明らかではあるが、老人で少し怪我もされておられる事で
 もあり、速く解決出来るのであれば、自転車も治療費も保険
 で処理してもらう様に依頼した。

 A氏はB氏に対して「保険会社に全てお任せしている事でも
あり、何故に貴方と直接話し合いをしなければならないのか? 
 自転車も治療についても保険会社が充分に対応している筈で
ある。保険の支払いとは別に何か私に請求している様だが、別には一切支払う気はないし交渉についても保険会社として下さい

 これ以上言われるのなら、当初の話はなかった事にして白紙に戻します。過失割合についてももう一度やり直しします!」

 B氏の態度が急変し、A氏としても、「これまで言いたい事
も色々あったが辛抱して来たのに、まるで自分がまるっきり加
害者のように言われては非常に心外である。

 私の自動車の傷を見たら判るように、自動車は全く動いておら
ず、自転車が横からぶつかって来てできたものばかりであった。
ナンバープレートが前向きに捲れあがってているのが、何よりの証
拠ではないか。 もし、私の自動車が動いていたのなら、ナンバー
プレートは内側に曲がっているはずである。自転車が左から右に
すり抜けて行ったからこそ、このようになっている。
 
 この際、事故の対応に付いては、一旦白紙に戻し、ハッキリと
過失割合を決めた上で、交渉し直して欲しい。」 との申し入れ
があった。

 当社としても、本来全面的にA氏にのみ過失を持って頂くのは
おかしな事だと感じていたので、保険会社にその旨を申し入れた。

■最終結末
 本件に付いては、当初、おとなしい老人の自転車の無謀運転が原因の事故で、1週間の診断書が出ていたが、A氏としても保険で
解決できるならばと交渉し始め、簡単に処理できると予想していたのであるが、B氏の態度の急変に未だ示談は成立していない。
 
 B氏はいまだに、知り合いの整骨院に通っておられる様子である。恐らく適当な期間を待って保険会社は、自賠責保険以外の一切の
請求を拒否し、逆に既に支払ったA氏の車両損害金についても相手に請求をするとおもわれます。
  現在に至っても示談は成立していない。 

 ちなみに、A氏には、今回の事故に対して、罰金や行政処分は一切来ていない。
 

■考察
 
以前であれば、とにかく歩行者、自転車と事故をすれば、事情はどうあれ自動車にすべて責任が降りかかる時代は終わりました。
 特に自転車に対しては、道路交通法が適応され、保険会社も過失割合を考慮して示談交渉に入る様になってきました。言い換えれば
正しく、現実に即した対応をするようになって来たと言う事です。

 事故がある度によく思いますが、事故当日や最初の内は「まとも」な相手でも、態度が急変する事が本当に多くあります。
 もちろん、誰しも事故すれば心配と不安で知り合いに相談するのは当たり前なのですが、「悪知恵」 が入ると素人ほどとん
でもない事を要求してきます。最初、事故の相手が優しく良い人と思って安心しては絶対にいけません。後でとんでもない要求を
突きつけてこられます。


 今回のA氏の様に相手が「直接話し合おう」と言った事をきっぱりと断れる人は多くはいないと思います。 もし話しに乗っていれ
ば、保険金が少ないと言ってとんでもない高額な請求を、第三者を立てて要求して来ます。そうなったら保険会社も手を出せません。
 せっかく、もしもの時の為に契約されている保険です。 絶対にご自分では相手と交渉しないで下さい。保険を使って事故処理
をするか、自己負担で弁償するかは、代理店や保険会社とよく相談されてからでも決して遅くはありません。

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