■英国フォード製 アスキス 安心して調子よく乗れるように! スワッピング&レストア 平成19年12月~ | |||||
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英国フォード製の10人乗りの普通乗用車で、 原型は戦前に作られており、復刻版として作られた自動車です。 平成4年の新規登録車です。 すでにメーカー(英国フォード)は無く、補給 部品の供給がない為に、エンジンが 故障して困っておられ、当社に改造のご依頼のお電話を頂きました。 車体は全てモーターボートの船体と同じグラスファイバー製で、 しっかりとしているのですが、海辺の為, 付属 周りの 金属部品類が、錆が出て折角のお車が残念な状態でした。 エンジンは当社に回送引き取ってから何 とか始動する様にはしましたが、 宮津に帰ってから、 再び故障した場合、 部品もないエンジンでは今後安心 して乗れないので、 打合せの通り、エンジンスワップをして欲しいとの事でした。 レトロで高級感あるこのお車の雰囲気を大切に温存し、 性能的にグレードアップを計り、信頼性、耐久性の あるお車に改造する為に、改造作業にかかりました。 |
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下の項目にマウスを移動すると写真が見れます。 クリックすると説明に移動します。 | |||||
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改造前の状態 アスキスはトラックの車体を改造したフレームの上にモータボートと同じグラスファイバー製のボディで作られて おり、 エンジンは 3000㏄の英国フォード製 V6電子制御法式のガソリンエンジンを搭載しています。 ( 国内にある他のアスキス は4気筒の ガソリンやディーゼルエンジンの方が多く、今回の自動車は上級車種 になります。) 足回りは、まるっきりトラックで走行性能は低く、高速道路向きではないのですが、今回の改造では、あえてコロニ ーパークと同様にセルシオのV8を改造搭載し、信頼性、静粛性、5速マニュアルから、4速オートマチックに変更 し、 操作性の向上も併せて計る事に致しました。 折角スワッピングして馬力アップさせるのですから、足回りも 少し、高速でも走って頂けるようにアレンジする事に 致しました。 |
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改造前のエンジンルーム ご覧の通り、車体の割りにエンジンルームは狭く、普通の改造では2UZのV8は寸法的には搭載できません。 幸いに、幅狭なのに高さがあるので、エンジン上部にバッテリーは配線、配管、リレー類、エアークリーナ等を 立体的に配置することにしました。 フルフレーム構造で、ボディがグラスファイバー製なので、一般の自動車 のようにフェンダーの裏側や、ラジエータサポート周辺に重い付属品や、力のかかる装置を装着する事が出来 ません。 海辺でお使いいただくので錆に対しても十分な対策が必要です。 エンジンを取外す前のこの段階で 各部の詳細な寸法を計測し、基本的なレイアウトを設計します。 |
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エンジンルームの寸法 V8ツインカムの為、シリンダヘッドが大きく、4番8番付近のバルブカバーやサージタンクがカウルパネルに大きく 干渉してしまいます。 そこでパネルを修正してエンジンを据付けなければなりません。 |
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サイドミラーの製作 ガルウイング式のボンネットフードの取付けステェイや、サイドミラーのブラケット類、ルーフ上部にある看板の枠等の 鉄製のパーツ類はご覧のように塩害で腐食していて使い物になりません。 かと言って部品も無いので当社で ステンレス製で部品を製作する事にしました。 その他の部品やボルト類も塩害を考慮して可能な限りステンレス を使用し耐食性を持たせました。 これで今後も長く安心してお乗りいただけます。 |
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リフトアップポイントの製作 正確で確実な改造作業をするためには、 どうしてもリフトに乗せて持ち上げられる様にしなければなりません。 この車はフルフレーム構造でトラック用のリフトで前後のアクスル(デフハウジング)で持ち上げる様に なっており、アクスルを脱着する作業はできません。 この為、改造するにあたって、まず一番にリフトアップ するためのリフトポイントを製作する事にしました。 フレームの鉄板が薄く強度が低く、各部を補強しながら、 重量バランスを計算しリフトポイントを作製しました。 これによって、エンジンやプロペラシャフト、排気管、マフラーなどの改造作業が容易に出来るようにしました。 |
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ドナーカーの状態 ドナーカのセルシオです。 10万キロ走行していますが、エンジン、ミッションも全く問題の無い非常に程度の良い 車を購入いたしました。 エンジンスワップと言うとエンジン、ミッションだけを取外すとお考えの方もいらっしゃると 思いますが、今回も車体外板や、サスペンション廻り以外のパーツのほとんどを取外しします。 |
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ドナーエンジンの再生修理・オーバーホール セルシオの2UZエンジンです。 アスキスのオリジナルV6エンジンに比べて縦横共に、15センチ以上大きいので 普通ではエンジンルームには入りません。 直6エンジンであればすんなりと入るのですが、高級感にこだわり、この V8エンジンにしました。 程度の良いエンジンですが、完成納車後にトラブルが無いように当社で分解整備をします。 オイルシール、ベルト、ホース、ガスケット類は出来るだけ交換し、オルタネータ、セルモータ類は再生修理します。 |
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旧エンジンの取外し アスキスのV6エンジンを取外した様子です。 マウスを写真にロールオーバーさせると2UZを仮付けしたところを ご覧いただけます。 エンジンの左右のバルブカバー後部がカウルパネルに当たって全く取付け出来ないので、 加工して ( 詳しくお見せできないのが残念ですが・・・) 搭載させます。 パワステポンプ、クーラーコンプレッサー 等は今後のメンテナンス性を考慮して、耐久力のあるセルシオ側を使用します。 この為に、後で説明していますが、 パワステ、クーラ廻りの配管類はアスキスに整合するように配管類は改造、製作する事にしました。 |
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エンジンマウントの製作・防振対策 取付けたエンジンを下から見た様子です。 改造前のエンジンマウントは、左右それぞれのメンバーに独立して 取付けてありますが、 セルシオの高出力エンジンではフレームの 「ねじり力」 に対して剛性が低い為に今回は、 写真の様に左右の両メンバーの渡らせた構造の機械構造用炭素鋼製のマウントブラケットを製作しました。 この法式を採用する事によって、強度は数段向上し、振動も飛躍的に改善します。 車体が長い為に、1ミリ狂うと後部では3センチ以上ずれてしまう為に慎重に位置決めします。 エンジンルーム の形状が前部が狭くラジエータがこのままでは取付け出来ないので、 出来るだけエンジンは後方に据付します。 ミッションマウントもエンジンマウントと同様の考え方で左右両メンバーに渡らせ、 フレームの剛性を高める様に 製作しました。 |
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プロペラシャフトの改造 アスキスは車体が長く、プロペラシャフトも普通の乗用車に比べて非常に長い為に、僅かなアンバランスでも 走行中に異常振動が発生します。 当社独自の特別な工法なのでお見せ出来なくて残念ですが 、セルシオの ミッション側ジョイントをアスキス側のプロペラシャフトに、長さを合わせて全く振れなく、溶接加工します。 シャフトの中間をつなぐと強度や精度が低下するのでフランジ付近で溶接加工します。 どこでつないであるか わかりますか? ギボクラッチ式のジョイントは、一般のユニバーサルベアリング法式に比べて、角度のズレに よるトルク変動が発生しやすく、1ミリ以下の精度でプロペラシャフト・センターベアリング等を取付けます。 |
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冷却装置類の改造・製作 エンジンの取付けが完了し、付属廻りの改造に入りました。 先述の通りエンジンルームの形状が台形で先端部 が細くなっており、 セルシオのエンジンを冷却するには、大きなラジエータが必要です。 この為、形状に合わせて ラジエータを特注致しました。 取付けの為のサポートは車体に合わせてステンレス製のコアサポートを製作 しました。 オートマチック車なので、ミッションフルード(ATF)、パワーステアリング冷却用のクーラをラジエータ前方に製作し ました。 エンジン冷却用のファンは一般的にはエンジン本体にベルト駆動で回転させているのですが、 今回の改造 では、走行安定性を考えてエンジンを車体下部にレイアウトして極力重心を低く配置しており、 セルシオの場合の エンジンとラジエータの位置関係が今回ではラジエーターが25㎝以上高くなってしまいます。 エンジンの回転で直接回すファンカップリング法式は今回は採用出来ません。 そこでこのためセルシオに搭載されて いるオイルポンプ法式の電子制御冷却ファンシステムを移植することにいたしました。 ご使用方法がリゾート内の循環ということもあり酷暑時にもお客様を待つために待機中のアイドリングや、低速走行など でもオーバーヒートしないように念のため、安全性を考慮し電子制御法式の油圧ファンを室内から手動でも強弱を調整、 操作できるようにボリューム型スイッチを新設しました。 更に温度に感応する補助の電動ファンを増設し、エンジン 停止後 のオーバーヒートを防ぎました。 |
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クーラーの改造(パワステ、オートマ、クーリングファン等) 左図は配管類の概略です。 AT、パワステ、ラジエータ冷却用オイルファンモータ用の3種類のクーラを改造して 取付けします。 クーラについてはセルシオのコンプレッサーの方が3倍の能力があるので、取付け部を改造し、 アスキスの配管とセルシオのコンプレッサーを連結します。 製作したラジエータサポートに3種類のクーラーを 取付けします。 クーラー廻りの配管はアルミ製なので当社お得意のアルミ溶接で改造・製作します。 |
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配線 セルシオの配線図を参考にアスキスに結線していきます。 1本でも結線を間違えると正しく作動しません。 慎重に、耐久性を考えて圧着端子を使わず1本1本を手作業でハンダ付けし、コルゲートチューブで被覆します。 エンジンルーム内の配線で排気熱で温度の高くなる部分では、耐熱被覆を施しました。ややこしい気の遠くなる作業です。 電子制御式のエンジン、ミッションなので結線箇所も膨大な量になります。 今後の修理、メンテナンスはお客様の宮津の修理工場でされる事もあり、特に故障や不具合が発生た場合も、誰でも 修理ができるようにダイアグシステムを製作しました。 これで、外部診断機させつなげば故障コードが判るように 完璧に結線しました。 外部診断機用の端子もちゃんと使用できます。 また、故障した場合にはメーターパネルの 専用モニターが点滅してドライバーに警告します。 エンジン冷却用の油圧ファンシステムを作動させるための配線も改造しました。 |
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マフラー廻りの改造 折角、セルシオのエンジンにスワップしたのですから当然マフラーも左右両噴出しにします。 プロペラシャフトや デファレンシャルに干渉しないようにパイプを曲げたり、溶接したりしながら作製していきます。勿論材質はマフラー 様のステンレス鋼なので一般のガス溶接では綺麗に溶接出来ません。 当社お得意の特殊溶接で継ぎ目を 目立たなく溶接して行きます。 |
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メーター類の改造・の製作 アスキスのスピードメータは旧式のミッションの回転を機械的にワイヤーでメーターに伝える方式です。 一方、セルシオは電子制御法式のA/Tミッションなので、タイヤの回転をミッション内の車速センサーでパルスを発生 させ コンピューター(CPU)に車速信号を送ります。 セルシオのメーターをそのまま取り付ければ簡単なのですが、 クラシックな雰囲気を壊さないように今回もあえて 新たに専用のスピードメーターを製作しました。 ミッションが異なるのですから、当然そのままではスピードは 正しく表示されません。 そこで、正しく車速が指示するように パルス変換機も製作しました。 燃料タンクと水温計は壊れていたので、修理しました。 特に水温計は水温ユニットの特性がセルシオとはずれて いたので簡単な電子回路を製作し正しく指示するようにしました。 |
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センターコンソールの製作 マニュアルのミッションより、セルシオの4速オーマチックに変更します。改造前はフロアーから直接シフトレバーが むき出していたので、センターコンソルを製作します。 家具用の上質ベニヤでスポンジ下地の上にレザー張りし 高級感を出しました。 フロントメーターパネルと同質の木目フィルムで上面パネルも張替えしました。 運転席からは手が届かないような 距離にあったステレオも使いやすいように中央のシフトレバーの前に配置しました。 |
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シフトレバーの製作 セルシオとは違って、今回はミッションとレバーの位置関係が40㎝程、上部に配置される為に、新たにリンク機構 を製作しました。 ブレーキペダルを踏まないとシフトレバーが動かないように安全面も考慮しました。 O/D OFFスイッチやシフトモードセレクトスイッチなども作動させるようにしました。 それらのスイッチを操作すると メーターパネルに新設したモニターに表示されるように 発光ダイオード(LED)をメーターパネルに取付しました。 |
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完成! エンジンスワップのつもりで取り掛かった今回の改造でしたが、結局レストアしてしまいました。 登録時に試運転を 兼ねて、名神高速を走りました。 改造前は7~80キロ以上は不安定で安心して走行出来なかったのですが、エンジン の高性能化と、足回りの整備で100キロ程度の速度では、片手でハンドルを持って安心して走ります。 信号待ちで 隣の車線に並んでいる普通車と同時に発信しても、スーッツと先に行ってしまいます。 上り坂も強烈な加速で全く別の 車になった気がします。 外装だけでなく室内も出来るだけ修理します。 10年と言わず、末永くお乗りいただく様に改造しました。 平成21年5月末に自走で、京都の宮津に無事納車させていただきました。 このぺーじをご覧頂いておられる方も、もし、天橋立方面に行かれる事があれば、是非一度ご覧になってください。 (会員制のリゾート施設ですので、お仕事のじゃまにならないようにお気を付けくださいね。) |
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